あれもダメなの!?意外と身近にある犬に危険な食べ物
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犬は人間と暮らす中で、人間と同じものを食べる機会も多いのですが、実は人間が日常的に口にするものの中には、犬にとって非常に危険なものもあります。また、これまで犬にとって良いと思われていたものも、実は危険なリスクが潜んでいたというものもあります。
そこで今回は、犬にとって危険な食べ物やそれらを食べることで生じる症状などをお伝えします。
絶対に与えないようにしたい食べ物
犬に与えてはいけないもののうち、中毒症状を引き起こすものは、命に関わる危険性もあるため、絶対に食べさせないようにしましょう。
ネギ類
長ネギや玉ねぎ、ニンニク、ニラなどは、犬の血液成分である赤血球を破壊し、貧血などの様々な症状を引き起こし、中には死に至るケースもあるため注意が必要です。
これらによる中毒症状は、貧血症状(歯茎や目の結膜、皮膚が白くなる、元気食欲がなくなる、呼吸が速くなるなど)のほかに、血尿や嘔吐、下痢、黄疸などを認めるようになります。さらに、誤食してから2~3日経過してから中毒症状を示すようになることもあります。
犬用のフードやおやつにこれらが含まれることはまずありませんが、人間の食べ物には多く使われている食材です。肉じゃがやカレーなど、明らかに玉ねぎが入っていることがわかる食べ物はもちろん、ハンバーグや餃子などにも含まれています。さらにはこれらの食材の煮汁でも中毒を引き起こすことがあります。
また、犬の健康に関する本の中には「少量であればまったく問題なし」と書かれているケースもありますが、どれくらいの量で中毒が起きるのかは、犬それぞれで異なりますので、絶対に与えないようにしましょう。
チョコレート
チョコレートの原材料として使われるカカオは、犬ではけいれん発作、震え、流涎(よだれ)などの神経症状を引き起こし、中毒死に至ることもあります。
チョコレートの中でも、ビターチョコレートやブラックチョコレートのように、カカオの含有量が多いものほど、少量で中毒症状を認めるようになります。
逆にホワイトチョコレートなどカカオ含有量が少ないものでは、中毒にまで至ることはあまり多くありません。しかし、留守番中に誤って大量に食べてしまったりするとたとえホワイトチョコレートでも危険な状態に陥ることがあるため、油断は禁物です。
ぶどう、レーズン
意外と知られていないのが、ぶどうやレーズンによる中毒です。
実際の診療の中でこれらの中毒についてお話しすると、「知らなかった」「今まで時々食べさせていた」という方がたくさんいらっしゃいます。確かに、少量であれば問題ないようですが、しかしはっきりとした中毒量が不明なため、与えないようにした方が無難です。
中毒を起こすと、腎臓の機能が障害を受け、腎不全となり命を落とすこともあるため注意が必要です。またぶどうは実だけでなく、皮でも中毒を起こしますので、人間が食べた後の捨てられた皮をあさって中毒になるケースもありますので、注意してください。
キシリトール
甘味料の一種であるキシリトールは犬に低血糖の中毒症状を引き起こすことがあります。キシリトールは人間用のガムやキャンディーなどに含まれていることが多く、これらを誤食することで中毒に陥ります。
低血糖になると、元気食欲の低下、嘔吐が見られ、重度になると、けいれん発作、昏睡状態になり、命を落とすこともあります。さらにキシリトール中毒では肝臓が強い障害を受け、肝不全になってしまうこともあります。
できるだけ与えない方が良い食べ物
犬に食べさせない方が良い食べ物の中には、中毒死には至らなくても、様々な症状を引き起こすものがあります。やはりこういったものも与えないようにしましょう。
牛乳
犬の多くは、牛乳に含まれるたんぱく質を分解するための酵素を持っていないため、牛乳をうまく消化できず、飲むことで下痢を起こしてしまいます。
「うちの犬は実際に飲ませているけど大丈夫」とおっしゃる方もいるのですが、年をとるにつれて、下痢を起こすようになることもあるため、飲ませない方が無難です。あえて犬に牛乳を飲ませる必要はありませんが、どうしても牛乳を飲ませたい場合は、犬用の牛乳が販売されていますので、そちらを使ってあげるようにしましょう。
生のイカやタコ・エビ・貝類
生のイカやタコ・エビ・貝類には、チアミナーゼというビタミンB1を分解してしまう酵素が含まれており、大量に摂取するとビタミンB1欠乏症を引き起こします。
ビタミンB1欠乏症では、よだれ、震え、元気消失、嘔吐などを認めるようになります。中には、ビタミンB1欠乏症によって死に至るケースもありますが、これら生の海鮮類を食べることで生じるビタミンB1欠乏症で、実際に死に至ることは非常に稀だと思われます。
これらの食材も、火を通せばチアミナーゼは酵素の働きを失いますので、ビタミンB1が破壊されることはなくなります。
スルメ
イカなどは火を通せば安全に食べることができるのですが、乾燥したスルメ状などは、大量に食べると胃の中で膨張してしまい、消化できずに嘔吐や下痢を起こすことがあります。また中には消化不良を起こしたスルメが腸に詰まってしまい、腸閉塞を起こすこともあります。
腸閉塞になってしまった場合は、緊急的に手術が必要になりますので、何度も嘔吐を繰り返すような症状が見られた場合には、速やかに動物病院を受診するようにしましょう。
硬水
ミネラルウォーターの中でも、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が豊富な硬水は、犬に日常的に飲ませていると、尿路結石症のリスクを高めてしまうことがあります。
尿路結石症は、血尿や頻尿といった膀胱炎症状を引き起こします。中には石が尿道に詰まってしまい、尿路閉塞を起こし、処置が遅れると命を落とすこともありますので、注意が必要です。お水は水道水、あるいは軟水のミネラルウォーターを使用するようにしましょう。
ひづめ・硬いガムのおやつ・ロープ
歯石をつきにくくする目的や、ストレス解消のために、硬いおやつを噛ませる方がいらっしゃいますが、硬い食べ物は様々なトラブルを引き起こすため、与えない方が良いです。中でも、硬いおやつを一生懸命噛むあまり、歯が折れてしまうケースが多く見られ、抜歯せざるを得ない犬があとを絶ちません。
肉食動物である犬は、草食動物の骨を噛むことができるため、硬いものも大丈夫だと思われがちですが、実は骨というのはそこまで硬いものではありません。それに犬の顎の力は非常に強く、実は犬の歯の強度が顎の力に耐えられないため、あまりに硬いものを噛んでしまうと、歯が折れてしまうのです。
また、硬いおやつを丸呑み、あるいは大きい破片のまま飲み込んでしまうと、食道や胃で詰まってしまうこともあります。
これらを踏まえ、硬いおやつは一切与えないようにすることをお勧めしています。その代わりに、弾力かつ厚みがあって、長い時間噛めるおやつや、飼い主の方が手に持って、食べ方を調整できるようなおやつがありますので、そういったものを使ってあげると安全でしょう。
もしも食べてはいけないものを食べてしまった時は?
慌てないで、まずは動物病院に連絡を入れましょう。
無理に吐かせようとしたりする方もいらっしゃいますが、吐かせると危険なものもありますし、吐かせること自体が犬には大きな負担がかかります。慌てず、動物病院と連絡を取って、指示を仰ぐようにしましょう。
もしも、かかりつけが診療時間外の時に備えて、地域の夜間救急動物病院もチェックしておくと良いでしょう。
受診が必要な際には、どういったものを食べてしまったのか、食べたものと同じものが手元にあれば、それを持参するようにしてください。
犬に与えてもいいおやつなど
犬はもともと肉食動物ですので、新鮮なお肉であれば安全に与えることができます。ただし、生は衛生的に問題になることがありますので、なるべく火を通したものを与えるようにしましょう。また、犬によっては鶏肉や牛肉など、特定の肉に対してアレルギーを示す場合もありますし、脂が多いお肉はお腹を壊す原因になりますので注意が必要です。
また、犬用のおやつとして販売されているジャーキータイプは、添加物などが問題になることがあるので、なるべく余計なものが入っていないものを選んであげてください。
犬にとって野菜は、多少であれば問題にならないことがほとんどです。しかし中には尿路結石症のリスクが高まってしまうこともありますし、玄米など、一見栄養価が高そうに見えて、実は犬には消化できないものもありますので、むやみに食べさせるのは控えた方が良いです。
どんなおやつでも当てはまることは、「量を加減する」ことです。たとえ良質で、犬にとって消化の負担にならないものでも、食べすぎると栄養バランスを崩してしまうことなどがありますので、どんなおやつでも、ご褒美の時に少しだけ与えるなど、ほどほどを心がけてください。
まとめ
このように、犬にとって危険な食べ物が、実は身近に潜んでいます。しかし、犬はそんなこともわからず口にしてしまいます。
今回ご紹介したような食べ物は、必ず犬が絶対に届かないところに保管するようにしてください。万が一食べてしまっても、慌てず、まずは動物病院に連絡をして、指示を仰ぐようにしましょう。