【獣医師さんに聞きました】アレルギー対策のドッグフードの選び方
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「えっ!?なんでそんなに体掻いてるの??」
こんにちは運営者のMOPです。
確かにアレルギーがある愛犬のドッグフード選びは難しいですよね。今回はアレルギーの原因や対策方法を犬丸先生に聞いてみましょう。
「それでは犬丸先生よろしくお願いします。」
動物病院に来院する病気のうち、最も多い病気が皮膚病で、その中でアレルギーを持つ犬が非常に多く見られています。
また、時々皮膚を痒がったり、軟便や下痢をしたりする犬では、アレルギーが隠れていることもあります。
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アレルギーが出ている犬の特徴や症状
犬のアレルギーには急激な反応が起こる重度のものと皮膚や消化系の特徴があります。
1.急激なアレルギー反応のアナフィラキシーショック
まず注意していただきたいのが、『アナフィラキシーショック』と呼ばれる急激なアレルギー反応です。
この場合、食べ物を摂取して間も無く〜30分ほどで、吐いたりグッタリしたりなど、非常に重い状態に陥ります。処置が遅れると命に関わる危険な状態ですので注意が必要です。
アナフィラキシーショック以外では、犬のアレルギー症状のほとんどが、皮膚と消化器の症状になります。
2.皮膚が炎症が起こるアレルギー反応
皮膚症状では目の周りや口の周り、耳、下顎、肘、下腹部、内股、四肢の先端、お尻や陰部周りなどが赤くなったり、痒み、発疹、脱毛が見られるようになります。
これらの部位は犬が動く中で皮膚がよく擦れる場所で、擦れることで炎症が起こりやすくなってしまいます。
健康な皮膚では、多少擦れても大した炎症は起きないのですが、アレルギーを持つ犬の皮膚では、ちょっとした皮膚の擦れで、かゆみが引き起こされるレベルの炎症が生じます。
さらに、首から背中、お尻にかけて発疹やかゆみが見られるケースもあります。
また、これらのアレルギー性皮膚炎では、ほとんどが細菌感染を伴いますので、感染部位の炎症で、かさぶたができていたり、ジュクジュクとした湿疹が起きていることもあります。
3.下痢や軟便になるアレルギー反応
消化器症状では、軟便や下痢が見られます。
アレルギーを引き起こすドッグフードを摂取して、すぐに下痢してしまうケースもありますし、犬の中には数日して軟便から始まり、徐々に下痢になってしまうようなケースもあります。
他にも、普段は良い便をしているのに、ちょっとしたときにゆるくなってしまう、そのような間欠的な症状でも、アレルギーが隠れていることがあります。
さらには、軟便や下痢が見られなくても、便の量が多い場合でもアレルギーが原因となっていることがあります。
便の量については、ドッグフードの消化性や食物繊維の量によっても変化しますが、一つの目安として、1日に3回以上の排便が見られるときは要注意です。
なぜ犬にアレルギーが出てしまうの?
食物アレルギーのメカニズムとしては、腸に入ってきた食物中のタンパク質に対して、何らかの免疫システムの異常によって、アレルギー反応を示すようになります。
つまり、食べたことがない食物に対して、いきなりアレルギー反応を示すことはなく、過去に一度でも口にしたことがある食べ物がアレルギーを引き起こす要因となります。
しかし、なぜ免疫システムの異常が生じるのかがわかっていないのです。
中には食物アレルギーでは、“腸漏れ”と呼ばれるリーキーガット症候群という病気が原因ではと考える獣医師もいますが、腸のシステムについては、腸内細菌など非常に複雑なメカニズムを持っているため、犬では未だにしっかりとした証拠が得られていません。
また、アレルギー反応には4つのタイプがあり、そのうち食物アレルギーで問題になるのは、1型アレルギーと4型アレルギーと呼ばれるものです。
1型アレルギーは、一般的なアレルギーで見られるもので、食物アレルギーの場合では、食べてすぐもしくは30分以内にはなんらかの症状が見られるタイプです。
一方4型アレルギーは、遅延型アレルギーとも呼ばれ、食べ物を食べてから数日〜1週間程度でアレルギー反応が発症するタイプになります。
どちらも同じアレルギーなのですが、メカニズムが異なりますので、例えば、同じチキンアレルギーでも、1型だけを発症するタイプ、4型だけを発症するタイプ、1型と4型両方を発症するタイプと様々な違いがあります。
しかし、同じタンパク質でもどういう場合に1型アレルギーとなるのか、あるいは4型アレルギーになるのか、その原因はやはりはっきりとはわかっていません。
アレルギーの原因は特定できるのか?
どういう物質にアレルギー反応を示すのかを調べることは可能です。
実際には複数の動物検査機関でアレルギー検査を行っており、大抵は血液を分析することでアレルギーの元になる物質を検査することができます。
しかし、ほとんどの検査機関では1型アレルギーについては調べることはできるのですが、4型アレルギーに関しては一部の検査機関しか実施していないため注意が必要です。
アレルギーの元になる物質は、1型アレルギーでは、食物以外にも草木やハウスダスト、カビ、花粉など多岐に渡って検査することが可能です。
しかも検査機関によっては数百項目の物質を調べることができます。
しかし4型アレルギーについては、今のところは一部の食べ物だけを調べることができます。
また、1型アレルギーの検査で陽性反応(アレルギー反応あり)が見られたとしても、必ずしも同じ食べ物が4型アレルギーの検査でも陽性になるかどうかの相関関係はありません。
アレルギー検査を行う際には、必ず1型と4型、両方の検査を実施するようにしてください。
さらには、アレルギー検査を実施する際には、特定の治療薬を使っている場合には、検査結果に影響を与える場合がありますので、必ず獣医師と相談しながら行うようにしましょう。
特にステロイドや免疫抑制剤は、アレルギー反応を隠してしまい、本来持っているはずのアレルギー反応を検査で分からなくしてしまいますので、検査の精度が極端に低くなってしまいます。
さらに、花粉や草木などのアレルギー反応は、季節によっても変化することがありますし、犬が歳をとるにつれて、検査結果が変わることもありますので注意が必要です。
犬のアレルギー検査の結果では、ほとんどの場合、複数の物質にアレルギー反応を示しています。
さらには、アレルギーを持つ犬の約70%が1型アレルギーと4型アレルギーを併せ持っているという報告もありますので、特定のアレルギー物質に囚われるのではなく、検査をする際にはできるだけ広い範囲で調べることが重要です。
また、人のアレルギーでは、食べ物やハウスダスト、花粉といったアレルギー物質以外にも、金属アレルギーや乳化剤、人工甘味料などの添加物アレルギーが存在することも知られています。
しかし、犬の場合はそれらのアレルギーが存在するかどうかもわかっておらず、また検査することも難しいため、現在のところ、正確に調べる方法はありません。
食物アレルギーの対策方法
食物アレルギーの対策は、大きく分けて、3つの対策があります。
1. 薬によるアレルギー対策
2. ドッグフードやサプリメントなどの栄養管理
3. シャンプーや保湿剤などのスキンケア対策
それぞれについて詳しく紹介します。
1. 薬によるアレルギー対策
アレルギーの症状がひどく、犬も辛そうなときは、薬で辛い症状を抑えてあげましょう。
アレルギーによる皮膚のかゆみは、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤を使って、症状を軽減させます。
これらの薬は、皮膚の炎症を抑える効果があり、使用している間は、皮膚の状態はかなり良くなります。また、アレルギー性皮膚炎では、多くの場合、細菌感染も併発していますので、大抵の場合は抗生物質を併用します。
一方、消化器症状の場合は、同じようにステロイドや抗生物質を使用するのですが、中には、症状が改善するのに時間がかかるケースもあります。
しかし、これらの薬は、決してアレルギーを根本的に治しているわけではありません。単に皮膚の症状を隠しているだけのいわゆる対症療法ですので、薬に頼りすぎていると、副作用に苦しむことになります。
薬を使うときは、必ず他の対策も一緒に実施し、少しでも薬の使用量を減らすことが重要です。
2. ドッグフードやサプリメントなどの栄養管理
食物アレルギーの犬では、原材料の中の特定のタンパク質に対してアレルギー反応を起こしますので、それらのタンパク質を摂取しないよう、原材料に配慮されたドッグフードを食べさせる必要があります。
また、食べ物の栄養のうち、実に30%が皮膚の代謝に使われますので、ドッグフードの栄養バランスも非常に重要になります。
中でも脂質やビタミンA、亜鉛など、皮膚の代謝に深く関わる栄養成分が適切に摂取できるようにすることが重要です。
また、最近の研究では、アレルギーに腸内細菌が深く関わっていることがわかってきましたので、食物繊維や乳酸菌、真菌など腸内細菌を整える整腸作用のある成分を摂取することも有効と考えられます。
タンパク質の種類の制限は、ドッグフードに頼ることになりますが(場合によっては手作りの食事になることもあります)、栄養バランスの調整や整腸作用のある成分の摂取は、サプリメントを利用することも可能です。
3. シャンプーや保湿剤などのスキンケア対策
食物アレルギーの犬の中には、お薬やドッグフードで治療していても、なかなか症状が落ち着かないケースもあります。そういう場合には、皮膚を直接的にケアすることで、症状をコントロールできることがあります。
皮膚のケアについては、保湿成分を含んだローションや銀イオンなど皮膚での細菌増殖を抑えてくれる成分を配合したローションを使用します。
アレルギーの犬の皮膚は、健康な犬の皮膚と比べて、水分量が減っており、乾燥しやすいことがわかっています。
また、アレルギーを持つ犬の症状は、アレルギーによる炎症だけでなく、細菌による炎症も大きく関わっていることがわかっていますので、これらのローションで、乾燥を防いだり、細菌をコントロールすることで、症状を軽減させることができます。
細菌やカビを抑える作用のあるシャンプー、保湿作用のあるシャンプーを用いることで、皮膚のコンディションを整えることができます。
シャンプーは、正しく使えば非常に良いスキンケア対策になりますが、使うタイミングやシャンプーの種類を間違えると、逆に皮膚にダメージを与えてしまい、かえって症状を悪化させることもありますので、使用する際には注意してください。
アレルギーになりやすいドッグフードの原材料
食物アレルギーの原因となるのは、ドッグフード中のタンパク質です。
ですので、タンパク源となる原材料には注意が必要です。例えば人間の場合、三大アレルゲン(=アレルギーの元になる食物)として、牛肉、小麦、卵(鶏卵)が知られています。
一方、犬の場合はある報告では、鶏肉(チキン)とトウモロコシがアレルギーになりやすい原材料と言われています。
しかし、私自身の診療経験では、食物アレルギーを持つ犬のほとんどが、複数のアレルゲンを持っており、チキンやトウモロコシだけでなく、小麦や牛肉、ラム、米など、様々な原材料に対してアレルギー反応を示しています。
ですので、アレルギーになりやすい原材料にとらわれるのではなく、一頭一頭、きちんとアレルゲンを確認するための検査を実施することが重要だと考えています。
アレルギーに対応したドッグフードの選び方
最近では、実に様々なアレルギー対応フードが販売されています。
しかし、そのコンセプトは様々で、同じアレルギー対応フードでも、栄養成分が異なっているものも多くあります。
そこでご自身でアレルギー用のフードを選ぶときには以下のポイントをご参考にしていただければと思います。
1. アレルギー検査の結果に基づいて、原材料を確認する
2. 良質なタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル類を摂取できるものを選ぶ
3. 実際に食べさせながらコンディションを確認する
1.アレルギー検査の結果に基づいて、原材料を確認する
まずは1型及び4型アレルギーの検査を実施し、陽性反応(アレルギー反応あり)が出た原材料を使用していないドッグフードを選んでください。
原材料をチェックする際には、商品名だけでなく、必ずラベルの原材料を確認するようにしてください。
例えば、実際のドッグフードの中には、製品名に「ラム&ライス」と書かれてあっても、原材料にはチキンなど他のタンパク質が混ざっていることもあるので注意が必要です。
より厳密なドッグフードを求める場合には、動物病院での療法食であれば、ほとんどの製品で細かな品質管理が行われていますので、安心して利用することができます。
2.良質なタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル類を摂取できるものを選ぶ
アレルギーを持つ犬では、皮膚や腸が非常にデリケートな状態になっていますので、少しでも消化吸収の良いドッグフードを選んであげるようにしましょう。
とはいえ、なかなかドッグフードの消化率まで明記したフードは多くありません。
ですので、ヒューマングレードのものや、添加物の使用量が少ないもの、キレート化されたミネラルを使用しているものなど、体への負担が少ないものを選んであげるようにしてください。
3.実際に食べさせながらコンディションを確認する
食物アレルギーを持つ犬では、いくらきちんとしたドッグフードを選んでも、中には症状の改善が乏しいケースもあります。
あるいは、ドッグフードが皮膚のコンディションに影響を与えるのには通常は数週間かかります。
つまり、ドッグフードを変更してもすぐに効果が現れるのではなく、1〜2ヶ月は経過を見守る必要があります。
さらにはお薬を併用している場合には、ますますドッグフードの効果がわかりづらくなりますので、ドッグフードを選んだらそれで終わりなのではなく、そのフードがしっかりと合っているかを確認することが重要です。
コンディションの確認としては、痒みや下痢をチェックすることはもちろん、体臭やフケ、べたつき、さらには便の匂いや量なども観察するようにしてください。
まとめ
皮膚や便の状態から、「アレルギーかな?」と疑われる場合は、症状がひどくなる前に対策するようにしてください。
犬のアレルギーには食物アレルギー以外にも様々なものがありますが、皮膚や腸のコンディションを維持するには、どんなアレルギーでも、栄養管理が非常に重要になります。
また、逆に食物アレルギーであっても、スキンケアなど栄養管理以外の対策も非常に役立ちます。ぜひ今回の記事を参考に、より良いアレルギー対策を行っていただければと思います。